インドネシア:インドネシア石炭産業、2026年も逆風続く見通し 需要減・DMO制度が重荷

掲載日:2025年12月19日

2025年12月4日付の地元報道によると、インドネシアの石炭鉱業協会(APBI)は、2026年においても石炭産業が引き続き多方面からの圧力に直面するとの見通しを示した。APBIの事務局長は、近年の世界的な石炭需要の減退、国際石炭価格の下落、ならびに国内供給義務(DMO)における固定価格制度が、石炭事業者の企業活動を強く圧迫していると指摘し、これらの課題は2026年も継続するとの認識を示した。

国際市場の動向については、中国およびインドを中心とする主要消費国の需要構造の変化が、インドネシアの石炭輸出に直接的な影響を及ぼしている。以下の数値はいずれも褐炭を除く石炭を対象としている。中央統計庁(BPS)のデータによれば、2025年1~10月期の石炭輸出額は200.9億米ドルにとどまり、前年同期比で 20.25% 減少した。また、輸出量についても前年同期比4.10 % 減の320.47百万トンとなり、前年同期の334.19百万トンから 縮小している。さらに、石炭・褐炭採掘業の成長率は、2025年第3四半期において前年同期比 7.29%減 と大幅に減速した。国際石炭価格も同期間において前年同期比 21.57% 下落し、110.46米ドル/トンとなっている。

国内要因としては、2018年以降据え置かれているDMO価格が、企業の収益性を大きく阻害している点が挙げられる。発電向けのDMO価格は 70 米ドル/トン、セメントおよび肥料産業向けは 90 米ドル/トン に設定されているが、近年の採掘・輸送コストの上昇との乖離が拡大している。この固定価格制度が約8年間見直されていないことを踏まえ、適切な再評価または調整の余地を確保する必要があるとの見解が示された。

一方、政府は2026年に向けてDMO比率を 25%以上 に引き上げる方針を検討しており、産業界にとっては供給義務の増加が新たな負担となる可能性がある。また、財務省は、DMO価格を市場連動方式に変更した場合、電力補助金が最大で 22兆ルピア 増加する可能性があると指摘しており、DMO価格の見直しを巡っては、財政負担とのバランスが政策決定上の重要な争点となっている。

石炭事業者は、電力料金の安定確保という政府の政策目的については理解を示しえているものの、長期にわたり固定されてきたDMO価格については、持続可能は事業運営の観点から、見直しに向けた建設的な議論の場を確保する必要があると訴えている。

以上のとおり、インドネシアの石炭産業は、国際市場における需要構造の変化と国内政策の双方から圧力を受けており、2026年に向けた産業環境は引き続き不透明性を伴うものと見込まれている。

(ジャカルタ事務所)

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