ロシア:極東の港湾インフラ強化プロジェクトで多数の協定締結

掲載日:2013年12月26日

ロシア:極東の港湾インフラ強化プロジェクトで多数の協定締結 (PDF : 203KB)

現地報道をもとに、最近の極東における港湾インフラ強化プロジェクトを紹介する。

沿海地方スホドル湾 :
- 連邦海洋・河川輸送局、 Rosmorport 社、 SDS-Ugol 社間で、石炭積み出しコンプレクス建設に関する協定に調印した。中小石炭生産会社向けを想定した年間2,000万tの処理能力を持つターミナルを含む石炭コンプレクスを沿海地方南部のシュコトフスキー地区に建設する。プロジェクト費用は180億RUBで、2014年に建設開始、2019年に終了の予定。
このプロジェクトは、2012年1月24日に行われた石炭産業発展の再編総括及び見通しに関する会議で、プーチン首相(当時)が極東に中小石炭企業向けの年間2,000万t処理能力を持つ石炭専用港建設提案を出すよう指示したことから始まったもの。この協定調印に先立ち、11月20日ミクルシェフスキー沿海地方知事と Siberian Business Union(SDS)社フェジャエフ社長が面談し、同プロジェクトに実現に際して環境保護を重要視することを確認した。石炭粉塵削減のための最新技術を利用した密閉型ターミナルが建設される予定。

沿海地方ベズザシートナヤ湾 :
- RT Global Resources(Rostec 傘下)と韓国西部発電(KOWEPO)は、沿海地方南部フォーキノ市ハサンスキー地区のオトクリーティ岬にある石炭ターミナルに関する投資協定に調印した。積載量4~15万tの船舶を受け入れ、年間処理能力2,000万tのターミナル、150万tの貯炭設備などを建設する他、45km の鉄道改修する予定で、合弁会社 Port Vera を通じての投資総額は200億 RUB に上る可能性がある。ロシア運輸次官によれば、韓国側が36~38%を、残りを Rostec 側が出資する見込み。2013年からプロジェクト実現を開始、2017年に建設を終了させる計画 。

ハバロフスク地方ワニノ港 :
- Far East Vanino Port、Rosmorport、Rosmorrechflot の三社間で、ワニノ港ブールヌィ岬の石炭ターミナル建設に関する協定に調印した。2つのバースを擁する年間処理能力1,500万tのターミナルで、プロジェクト費用は120億 RUB 。 Far East Vanino Port 社をコントロールする Tuva Energy Industrial Corporation(TEPK)が投資し、ターミナル建設は2014年に開始、2017年に終了する予定。エレゲスト炭田で TEPK 子会社が生産する石炭の積み出しを行う。
- この他、ハバロフスク地方政府の発表によれば、12月11日モスクワにおいて、シュポルト知事と Sakha(Yakutiya)Transportnoi Kompaniya 社(Sakhatrans)(注)のチャムシキン社長が、ハバロフスク地方における輸送システム及び港湾インフラ発展に関する協定に調印した。ワニノ港に隣接するムチケ湾での石炭ターミナル建設プロジェクトにかかわるもので、石炭の輸送・保管・積み換えに関して粉塵による大気汚染防止対策の立案及び実施も規定されている。地方政府は Sakhatrans 社が求める同ターミナルを港湾特別経済地域に含めることに賛意を表した。
2005年から Sakhatrans 社が進める同プロジェクトでは現在、ターミナル及び鉄道インフラ建設の設計作業が行われており、2016年までに年間1,200万tの処理能力を持つターミナルを建設する計画(2020年にむけて2,400万tへの拡大可能性あり)。投資総額は250億 RUB を超えるとのこと。
このターミナル建設は「2010~2020年のロシア輸送システム発展連邦特別プログラム」にも取り上げられており 、サハ共和国内の炭田 Denisovskoe, Chulimakanskoe,Lokuchakitskoe などからワニノ港を経由したアジア太平洋諸国への石炭輸出ルートの一環として期待されている。

(注)Sakhatrans 株89%は、プーチン大統領の盟友とされるゲンナージー・チムチェンコ氏が率いる Volga Group が保有。

(モスクワ 屋敷真理子)

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