ロシア:Mechel、エリガ炭田開発関連情報

掲載日:2014年8月7日

ロシア:Mechel、エリガ炭田開発関連情報 (PDF : 188KB)

- 純債務が83億 USD とされる Mechel の救済策について、ロシア政府内で検討されているところ、マントゥーロフ産業貿易大臣は6月25日、同社が転換社債を発行し、主に国営の VEB 銀行が買い上げる案が現時点で最も現実的で妥当であると述べた。
- 他方、ロシア鉄道によるウラク~エリガ鉄道支線(エリガ炭田を BAM 鉄道につなぐもの)の買い取りという救済案が以前報道されていたが、ヤクーニン社長は6月19日、ロシア鉄道は現在 Mechel 救済案策定交渉に加わっていない旨を発言した。鉄道支線買い取り案は事実上検討対象から外れた模様である。同社長は、現在検討中の国営銀行による救済案のほうが鉄道支線買い取り案より生産的であると述べている。
- 6月19日、 Mechel の債権者たちがジュージン会長の退陣を求めているとの報道があり、一時同社株価が急落するなどの影響がみられたが、シュワーロフ第一副首相は6月20日、同会長退陣については討議事項ではないと述べている。他方7月1日には情報筋の話として、債権銀行の間で企業再生のターンアラウンド・マネジャー探しが始まっており、候補者が決まればメドヴェージェフ首相及びプーチン大統領の承認を経て、近いうちに Mechel に経営者交代手続きを求める見込みであるとの報道があった。
- 7月9日に VEB 銀行ドミトリエフ総裁は、 VEB 銀行の監査評議会(メドヴェージェフ首相が会長を務める)からの Mechel 救済案に関して提案を提出するようにとの指示を受けて銀行内の様々なレベルで検討した結果、どの救済案も銀行にとって損失をもたらすものであるとの結論に至り、経営陣としては救済に参加しない方針を決めた、と述べた。次の監査評議会にこの決定を諮る予定であるとのことである。この発言を受けて、Mechel の株価が急落、 Mechel 救済の行方は不透明な状況となった。現地報道では、資産のバラ売りから倒産案まで様々取りざたされている。
- Mechel 倒産に関して、ベロウソフ大統領補佐官は、同社が多数の労働者を抱えていることから倒産手続きは最後の手段であるとしており、またマントゥーロフ残業貿易大臣も反対を表明している。また Mechel の資産が様々な銀行に分割して担保に入れられていることが倒産手続きを難しくさせるとのアナリストの意見も報道されている。 Mechelの資産のうち、 Yakutugol の25%。 Yuzhny Kuzbass の25%、コルシュノフスキー選鉱工場の25%は国際銀行コンソーシアムに、 Mechel-Mining は37.5%を VTB 銀行、25%をSberbank に、またチェリャビンスク冶金コンビナートは Fortis と Unicredit に20%ずつ担保に差し出されているとのことである。
- VEB 銀行総裁は Mechel 救済にかかわらない方向を示していたが、7月17日に行われた監査評議会ではこの件が議題に取り上げられなかった模様である。18日には短期融資返済に必要な資金についてブリッジローン(年利11%、1年)を VEB 銀行が供与する代わりに、同行に対して Mechel-Mining の37.5%を担保に差し出す案が浮上し、同行がこれを検討中であるとの報道が流れた。市場価格の査定に1カ月ほどかかるとの予想であるが、簿価では37.5%の価格は462億 RUB で、想定されるブリッジローン金額の約1.3倍とのことである。
- 7月30日ベロウソフ大統領補佐官が、ロシア政府が Mechel 救済策2案を策定した旨を発表した。1つは VEB 銀行が Mechel 救済に参加する方式、2つ目は VEB 銀行はかかわらず債務の株式化により債権者銀行が直接 Mechel に資本参加する方式である。いずれも同社の倒産の可能性を排除し、少なくとも一時的にオーナーが交代することになる。同補佐官は、最終選択権は Mechel の債権者及び所有者にあるとして、これらの案が却下される場合には、同社の倒産認定もありうる、としている。 VEB 銀行総裁は同日、同銀行のこの件に対する姿勢は変わらず、どの案も銀行に損失をもたらすものである、と述べた。

(モスクワ事務所 屋敷真理子)

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