ロシア:極東ナホトカのターミナル間の競争が表面化

掲載日:2015年10月9日

ロシア:極東ナホトカのターミナル間の競争が表面化 (PDF : 114KB)

9月5日ナホトカで行われた運輸省次官出席のもと「ヴォストーチヌィ~ナホトカ輸送ジャンクション発展プロジェクト」に関する会議で、競合社間の争いが表面化したとの現地報道があった。
最大の荷役会社 Vostochny Port 社(Kuzbassrazrezugol 社傘下)の代表者が、自己資金で港までの鉄道引き込み線を建設し、無償でロシア鉄道に引き渡す用意があると表明、追加的な国家投資なしに、国家のインフラ近代化プロジェクトのいくつかを廃案にできると説明した。
運輸省は「ヴォストーチヌィ~ナホトカジャンクション発展プロジェクト」の実現に着手済みであり、2020年までに総額240億 RUB とされる投資総額のうち、サブコン Stroinovatsiya社(スンマグループ傘下)の作業ですでに30億 RUB が使われている。このプロジェクトは、スンマが2018年の操業開始を目指して進めている石炭ターミナル(計画処理能力、初期段階で700万t、最終的に2,000万トン)への輸送需要を考慮したもの。
Vostochny Port 社は、2012年から石炭積み出しコンプレクスの第3フェーズ建設を進めており、2017年に向けて年間2,450万トン、2019年に向けて2,900万トン、2020年の第3フェーズ稼働では3,900万トンまで石炭輸送力を拡大する意向。東方経済フォーラム会期中に、同社は Kuzbassrazrezugol 社と、2016年に1,200万トンの石炭積み出し、2020に向けて1,500万トンに積み出し量を増加させる協定に調印した他、丸紅とアジア諸国、特に日本へのロシア炭輸出量を増加させることを目標とする MOU に、さらに SUEK 社と協力協定に調印した。
現在 Vostochny Port 社のニーズを考慮していない「ヴォストーチヌィ~ナホトカジャンクション発展プロジェクト」が、あらゆる荷役会社の計画を考慮したものに修正される可能性もあるとみる人もいる。そうしなければ、 Vostochny Port 社が同プロジェクトよりも先に、自社プランを実現してしまい、限られたロシア鉄道の輸送力では、スンマのターミナルが予定する量の石炭の確保ができなくなってしまうだろうとしている。

(モスクワ事務所 屋敷真理子)

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