ロシア:2035年までのエネルギー戦略ドラフト

掲載日:2015年10月13日

ロシア:2035年までのエネルギー戦略ドラフト (PDF : 170KB)

エネルギー省は9月18日、2035年までのロシア連邦エネルギー戦略ドラフトを公表。18日には、ロシア政府附属分析センターにて、同ドラフトに関する討議が行われた。
現地報道によれば、同戦略は、2014年以降の欧米諸国による対露制裁、また2015年における平均55USD/bbl までの油価下落、及びその後5年間で80USD/bbl 、2035年に向けては95~105USD/bbl までの回復予想を考慮して策定された。
エネルギー産業の発展シナリオは2つあり、一つは経済発展省による2030年までの予測(2015年6月時点のドラフト段階)に基づく「保守的」シナリオで、2035年に向けて経済成長を1.5倍(年平均1.9%)とみるもの。もう一つは、「目標」シナリオで、2022年までの第一段階については「保守的」シナリオと同じパラメーターをもとにしつつ、2035年に向けて GDP 成長率を1.9倍(平均3.1%/年)、特に最後の10年間に関しては成長率4%との予測に基づいて策定されている。
石炭産業については、サハ共和国、トゥワ共和国、ザバイカリエ地方、アムール州で石炭生産の新拠点を発展させることにより、生産量を年間4億4500万トンまで拡大することを目標として示した他、輸出量の30%拡大、選炭工程に向けるエネルギー炭の量を2~2.5倍に増やすことを目指す。
上記目標を達成するための対策として、下記があげられている。
(1)労働生産性を数倍に高める石炭生産の新技術導入
(2)輸送ロジスティクスの最適化、石炭輸送のための鉄道料金形成メカニズムの改善。シベリア鉄道、 BAM 鉄道、極東鉄道など鉄道輸送力の強化、特に太平洋岸における石炭ターミナルの迅速な発展
(3)将来性のない石炭関連企業に関し、リストラ職員の社会保障対策と歩調を合わせた解体
(4)産業廃棄物処理及び土地リハビリを含めた自然保全対策の推進

(モスクワ事務所 屋敷真理子)

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