米国:EIA短期エネルギー見通し:2024年12月分(石炭)
掲載日:2024年12月27日
12月10日、米国エネルギー省エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration: EIA)が月例の短期エネルギー見通し(Short Term Energy Outlook: STEO)を発表した。12月公表のSTEOにおける米国の石炭に係る主な見通しの概要は以下の通りである。
今次STEOでは、米国における石炭消費量は、2023年から2024年にかけて5%減少したが、2025年には前年比で1%増加し、4億900万ショートトン(409 MMst)となると予測する。同増加予測は、米国で消費される石炭の約90%は電力部門によるものであり、一義的には電力需要の増加により2025年に電力消費量が1%の増加を遂げると見られることを反映したもの。加えて天然ガス価格の上昇予測も、石炭の消費予測を引き上げる一因となった。2025年の石炭消費量は、比較的一定となると目されるものの、石炭生産量は火力発電所の在庫削減により前年比で7%減少し、4億7,200万ショートトン(472 MMst)となると予測している。
2025年、米国における石炭火力発電容量は、石炭火力発電所の閉鎖により再び縮小し、同年の縮小分は11ギガワット(11GW)となると予測する(図1参照)。その一方で、同年に再生可能エネルギーによる発電設備の稼働開始により、風力発電能力は9ギガワット(9GW)、太陽光発電能力は25ギガワット(25GW)となり、それぞれ拡大すると予測する。
出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook December 2024」
図1 米国の電力使用の石炭火力発電容量に対する、年別推移(左)および前年度比(右)
(単位:ギガワット)
EIAは今次STEOにおいての2025年の石炭消費量の前年比1%増予測に伴い、2025年のCO2排出量予測を、2024年1月のSTEOから2%(CO2換算約1億トン)増加させている。この排出量増加の見通しは、ほとんどが石炭火力発電の上方修正に関連している。2025年にはデータセンターによる電力消費の増加に伴う電力需要全体の上方修正に伴い、石炭火力発電の増加を見込んでのことである。
今次STEOでは、米国における石炭消費量は、2023年から2024年にかけて5%減少したが、2025年には前年比で1%増加し、4億900万ショートトン(409 MMst)となると予測する。同増加予測は、米国で消費される石炭の約90%は電力部門によるものであり、一義的には電力需要の増加により2025年に電力消費量が1%の増加を遂げると見られることを反映したもの。加えて天然ガス価格の上昇予測も、石炭の消費予測を引き上げる一因となった。2025年の石炭消費量は、比較的一定となると目されるものの、石炭生産量は火力発電所の在庫削減により前年比で7%減少し、4億7,200万ショートトン(472 MMst)となると予測している。
2025年、米国における石炭火力発電容量は、石炭火力発電所の閉鎖により再び縮小し、同年の縮小分は11ギガワット(11GW)となると予測する(図1参照)。その一方で、同年に再生可能エネルギーによる発電設備の稼働開始により、風力発電能力は9ギガワット(9GW)、太陽光発電能力は25ギガワット(25GW)となり、それぞれ拡大すると予測する。
出所:U.S. EIA 「Short Term Energy Outlook December 2024」
図1 米国の電力使用の石炭火力発電容量に対する、年別推移(左)および前年度比(右)
(単位:ギガワット)
EIAは今次STEOにおいての2025年の石炭消費量の前年比1%増予測に伴い、2025年のCO2排出量予測を、2024年1月のSTEOから2%(CO2換算約1億トン)増加させている。この排出量増加の見通しは、ほとんどが石炭火力発電の上方修正に関連している。2025年にはデータセンターによる電力消費の増加に伴う電力需要全体の上方修正に伴い、石炭火力発電の増加を見込んでのことである。
(ワシントン事務所 三田部 真理)
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